Skip to content

Cart

Your cart is empty

Article: 妻の回復を信じ、1秒ずつ進歩する

妻の回復を信じ、1秒ずつ進歩する
interview

妻の回復を信じ、1秒ずつ進歩する

RRC member interview

text:Shun Sato

余裕を持って臨む

自分のスタイルを貫く。

2025ー2026シーズンのRETO RUNNING CLUB A0チーム(目標:フルマラソン2時間55分) のMVPを受賞した野崎稔雄さんを見ていると、そのことを強く感じる。

2月1日の愛媛マラソンで2時間54分56秒をマークし、55分を切った。2年前の愛媛マラソン以来の自己ベストになり、野崎さん曰く「ホッとしました」と笑みを見せた。

「少しですが55分を切れてよかったです。いつも12月はコンディションが上がってくるんですよ。あと、ガチガチにベストを狙おうという入り方ではなく、調子よく走れればベストが出るかなという感覚で走ったのも良かったかなと。昔ガツガツ行っていた時はぜんぜんいい結果を得られなかったんです。今は、70‐80%ぐらいで走ればベスト出ると思っていますし、その意識が今回も良い方向に働いたのかなと思います」

サブ3奪還からのスタート

野崎さんは、RETOに入った5年前には、すでにサブ3を達成していた。

「RETOに入る5年前かな。そこで1度、2時間56分のタイムを出してサブ3と自己ベストを更新していたんです。それからはガツガツと自己ベストを狙いに行かず、サブ3をキープすりゃいいかっていうテンションで走っていました。その後、コロナ禍になり、レースがなくなり、一気にモチベーションが落ちてしまったんです。ジョグぐらいしかやっていなくて、このままじゃサブ3の維持も難しいなと思い始めて。そんな時、RETOに入れることになり、マラソンを再スタートさせました」

だが、当時の目標は、わりと控えめなものだった。

「RETOに入ったのが49歳で、翌年には50歳になるので、50歳でサブ3を目標にしていました。PBは狙っていなくて、サブ3を達成していれば、なんとなくランナーとして形になるので、とにかくサブ3奪還って感じでした」

野崎さんは、RETOでの1年目でサブ3を達成した。

レトメンからの刺激

それまでの自分であれば、そのまま状態をキープできればいいという感覚だった。だが、メンバーが次々と結果を出すようになり、それを見ていると「自分も」という気持ちがふつふつとわいてきた。

「若い人から刺激をもらっていたのはもちろんですが、やっぱりチェリーさんとか年上の人たちがPBを出したり、RETOを離れてしまいましたが同年代の拓ちゃんとかシマカズさんがすごくいいタイムで走っていたんです。彼らからエネルギーをもらいましたし、すごく刺激になりました」

マイナー路線狙い

タイムを狙うレースを年間で考えていったが、野崎さんの年間のレースプランは愛媛マラソンが軸になっていた。茨城県出身でつくばマラソンが地元のレースだが、なぜ愛媛だったのか。

「もともとは、妻が愛媛マラソンの評判がいいので出たいという要望があったのと当時、彼女の大学時代の先輩が住んでいるのもあって、じゃあ出てみようと参加したんです。その時、大会の雰囲気がすごく良くて、それから毎年参加するようになりました」

 愛媛マラソンは2月上旬で、別大はもちろん、勝田にも近く、ハーフマラソンもメジャーな大会が多い。

「ずっと愛媛を入れていたら、それが既定路線になっていたんです。変な話、自分はメジャー路線というよりもマイナー路線のレースが好きなので(笑)。でも、昨年、妻の先輩が愛媛から東京に引越してきたんです。以前ほど愛媛に行く理由がなくなってきたので、来年以降はレーススケジュールが変ってくるかもしれないですね」

週末だけの練習

野崎さんの愛媛推しは有名だが、もうひとつメンバーのなかに都市伝説のように囁かれていることがある。

「トンさん(野崎さんの愛称)って練習するの土日だけ?」

果たして、真相はどうなのか。

「その傾向はありますね(苦笑)」

野崎は、少し表情を崩してそう言った。

「確かに、練習は週末に集中しています。平日は、仕事して帰って来てから走るのが億劫ですし、気持ちと体が一致していないと走ってもいい練習にならないと思うんです。週末だけっていうのは、休み過ぎかもしれないですけど、僕にとっては良いリカバリーになっています(笑)。ランニングはしていないですけど、テニスをしたり、通勤は自転車を使うようにしているので体を動かしていないわけじゃないんです」

自分らしい練習スタイル

野崎さんは、今でこそ土日を走っているが、RETOに入る前は土曜日に30キロを走るだけだった。ちなみに今、レースがない週は、土曜日に30km前後のロング走、日曜日はハーフ程度をやや速めのペースで走ることが多い。以前は、ロングをMペースで走る練習をしていたが疲れるばかりで強度が高いわりに効果を感じられなかった。少し遅めで走った方が効果がいいと実感し、今はMペースで走る練習はレース前、1度走るぐらいにしている。月間の走行距離は、250~300キロの間をキープしている。

「この距離でいいのかどうか分からないですけど、自分には合っているかなと。僕は、みんなのように毎日走ることができないんです。そこまでのテンションを維持できない。誰かと同じように練習をする必要はないと思いますし、特に我々の年代になると無理せず、適度な範囲で走っていくことが怪我防止にもタイムにも繋がっていくと思いますね」

自然体を貫く

コンディションをキープする、怪我を予防するという点に何か取り組んでいることはあるのだろうか。

「特別なことはしていないです(苦笑)。体の状態を把握した上で今、自分の体が何を欲しがっているのかを考える感じですね。疲れているなと思ったらストレッチするし、食べたいものがあれば食べる、寝たきゃ寝る。本能に従って動いています。何かをしなきゃいけないと縛りを設けてしまうと、それをしないとストレスになるので、ゆるっとした感じでいます」

体のケアはマイペースだが、ランについては昨年から平日も走る機会が増えた。個人練習会にも顔を出すようになり、土日練習のみのトンさんから脱皮しつつある。それでも遅いペースで土日の練習に影響しない程度にとどめているが、タイムに対しても欲が出てきているからでもある。

妻へのサポート

そして、もうひとつ、奥さんの七菜子さんのため、でもある。

菜々子さんは、神野選手と同じジストニアを患っている。以前と同じように走れなくなり、苦しい時間を過ごしてきた。野崎さんは彼女をサポートすることで、一緒に走る時間が増えた。

「彼女が病気になる前は、それぞれのペースで個別に練習していました。今は走りについては彼女をサポートする形になっています。神経系の病気なので意識して治せないのが悔しいというか無力さを感じますね。彼女が抱えたストレスもただ聞いてあげるだけでしかできません。でも、フォームを意識したり、身体の一部分を意識して走るとか、やれることは続けてきました。そういうことを勉強することで僕もいろんな知識を得ることができて、それを自分に走りに活かせています。治るにはちょっと時間がかかるかもしれないけど、地道にやっていくしかないと思っています」

1日も早く、個別に練習して、それぞれの目標に向けてスタートする日が来るのを待つばかりだ。

1秒ずつの進歩

野崎さんは、2月に2時間55分の壁を破ったわけだが、今後はどこを目指していくのだろうか。

55分を切りましたけど、まだエガ(2時間50分切り)は見えないですね。今のところは52分ぐらいが妥当かなと思います。エガを目指すと、無理して怪我してしまいそうな気がするんです。RETOはいい意味で年齢を忘れさせてくれますが、現実は回復が遅く、思うようにパフォーマンスが上がらない時があります。だから無理はしません。あと、僕の最近のベストを見るとキロ1秒しか上がっていないんです。2時間56分の時は1kmあたり約410秒、今回更新した時は約49秒(48.7秒)なんです。ちょうど1秒くらいずつ速くなっているので、1秒ずつ上げていくのが自分らしいかなと思います(笑)」

なぜ走るのですか

「純粋に楽しいからです。走ること自体も楽しいですけど、RETOに入って世代とか職業を超えてつながりが出来るのも楽しいですし、RETO駅伝をやった時も楽しいなって改めて思いました。僕はなかなか自己ベストを更新できないし、MVPと縁がない人生だと思っていたけど、走ることで得られたので走って来て良かったと思います」

Read more

いつも挑戦する心を忘れない
interview

いつも挑戦する心を忘れない

RRC member interview text:Shun Sato モチベが上がらない  2025‐2026シーズン、RETO RUNNING CLUBで総合MVPを受賞した片山絵さんは、マラソンに向けてエンジンが掛かりにくい状態だったという。 「2024年のつくばを走ってからほとんど走っていなくて、昨年の道マラも3時間半ぐらいで全然モチベーションが上がらなかったですね。その頃は、...

Read more